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Episodes

真実は無色

Episode15

Date:
2023.07.13
染谷千秋
シナリオ制作者:
湯様
シナリオ頒布先:
booth

本編

時刻は夕方、あなたは外出の帰りに、スーパーで食材の買い出しをする。 日中働いている千冬に代わって、通信制大学で比較的自由の利いた時間の使い方ができるあなたが、家事を主に担当するようになっていた。今日、明日、明後日の食事のメニューを考える。千冬が何を食べたいか、食べる時にどんな反応をしてくれるか。そうやって千冬のことを思うのがあなたの幸せであった。 スーパーは様々な年代の人で賑わっている。学校帰りの女子高生が、隣の友達と甲高い声で話す声が耳についた。 「そういえば、知ってる? 深夜0時に鏡に触れると、別世界の自分に会いに行けるって話」 「それって鏡だけ?」 「ううん、自分の顔がはっきり反射していれば何でも良いんだって!」 「そういえば、後悔していることをやり直せる夢の話も、流行ってるよね~」 アイデアどうぞ!

染谷千秋 : CCB<=85 【アイデア】 (1D100<=85) > 74 > 成功

数ヶ月前程からそんな噂が街中に飽和している事を探索者は知っている。 もしかしたらこの街の中だけの噂では無いのかも知れない。出元はあやふやだ。 誰もが友人の友人から聞いただとか、隣人が話しているのを聞いただとか。 人の溢れる通路を抜けてあなたはレジに並び、買ったものを袋に詰めた。 そしてあなたは自身の家へと帰る。

染谷千秋 : (よくあの噂耳にすんな。……)千冬の帰宅時間にちょうど炊きあがるよう炊飯予約を入れながらお米の準備をします。 かつおのたたき、ご飯、味噌汁、漬物、茶碗蒸し、刺身盛り合わせの下準備をすませて、その後噂について調べます。

あなたは慣れた手際で夕飯の準備を終える。そして千冬が帰るまで、その噂や世間のニュースを調べる。――あなたは情報収集に余念がなかった。それも、周りの事を把握するため。千冬を害するものがないか確認するため。異変をすぐに察知するため。そのために、普段から興味もない外の世界の色々な場所へ顔を出しているほどだった。尚更、こんな噂は見逃せないだろう。 噂については、やはり出所がわからないようだった。しかしこの町だけではなく、全国的に騒がれているようだ。それに対して異様さは感じるかもしれない。 もう一つ、話題になっているニュースがある。「××区で殺人事件発生。容疑者見当つかず。これまでの事件と関連性が高く、犯人は同一か?」 アイデアどうぞ!

染谷千秋 : CCB<=85 【アイデア】 (1D100<=85) > 60 > 成功

最近、犯人不明の殺人事件がよく起こっていた。 死体が発見されるのは自宅だったり、路地裏だったり、稀に交差点の真ん中で死体が発生する事がある。 しかしそのどれもが容疑者すら不明の事件が数ヶ月ほど前から起こっている。 それはこの街の中だけの話に留まらず、隣の市やもっと遠い県も同様であり、今日のこのニュースもかつて住んでいた町の近くで起こったようだった。

染谷千秋 : 自宅で死んでいるのに殺人事件と断定してるのには理由がありますか? 外傷や死因が似ているとか、事件の共通点や気になる点があればより詳しく調べたいです。

あなたはくまなく調べて、それらが全て銃を撃たれたことによる失血死であることが分かる。他に共通点はないようだ。

染谷千秋 : (交差点の真ん中で撃たれたのにも関わらず容疑者すら不明、ねぇ……。怪異が関係してるかもな……) 染谷千秋 : 時系列や発生位置から情報を整理して、次に起こる位置を予想できたりしますか?

情報を整理してみましたが、時系列や発生位置による法則性は見出せず、予測はできませんでした。

染谷千秋 : (……。あんま不安にさせたくねぇけど、後で千冬に言っとくか……)時計を見ながら、ご飯の準備を進めます。

時計を見ると、千冬が帰って来る時間に差し掛かっていた。間もなく玄関の扉が音を立て、千冬が帰ってきたことを知らせる。

染谷千秋 : 「千冬!おかえり」出迎えてから抱きしめてキスします。 染谷千冬 : 「ただいま」口元を綻ばせて、自分からも抱きしめて軽くキスをします。 染谷千秋 : 「今日もお疲れさま。暑かったろ?」千冬の鞄を持ち、頭を撫でます。 染谷千冬 : 「ああ、でも昨日よりましな気がする」そう言って部屋に入り、鞄を置きます。手を洗って、冷房の効いたリビングで涼みます。 染谷千秋 : 「そっか。ならよかった。水分補給も忘れずにな~」 そう言いながらグラスに氷とお茶をついで千冬に差し出します。 「もうすぐご飯できるけど、どうする?すぐ食べるなら準備するぜ」 染谷千冬 : 「ありがとう」お茶を半分ほど喉に流し込みます。 「そうだな。食べよう」 染谷千秋 : 「ん、わかった」ご飯を準備します。 染谷千秋 : かつおのたたき、ご飯、味噌汁、漬物、茶碗蒸し、刺身盛り合わせを並べます。千冬の方を多めに盛ります。 「いただきます」 染谷千冬 : 「いただきます」もぐもぐと食べ進めます。 「美味しい」 染谷千秋 : 千冬の食べる姿を見ながらふ、と笑います。 「よかった。今日はどうだった?」 染谷千冬 : 「まだ分からないことも多いが、知識が増えていると感じる。楽しい。……千秋はどうだった」 染谷千秋 : 「よかった。俺はいつもと変わりねぇな~。……けど、街で妙な噂を耳にした。……」街で聞いた噂とニュースの話をします。 染谷千秋 : 「不審な点が多い。……怪異の可能性もある」 染谷千冬 : 「そんな噂が……確かに、そうかもしれないな」 染谷千秋 : 「千冬も何かあったらすぐ言えよな~」のんびり食べ進めます。 染谷千冬 : 「千秋もだ」微笑みながら食べます。 染谷千秋 : 「ああ」

あなたたちは夕食を終え、食器を二人で片づける。そして穏やかな時を過ごす。二人でテレビを眺めて、代わりばんこに入浴し、同じベッドに入り、千冬が眠るのを見届ける。いつもと変わらない、愛すべき日常がそこにあった。 千冬の寝顔を堪能した後、あなたはベッドを抜け出し、バイトへ向かう準備をする。 身だしなみを整えようと、鏡に手を伸ばした時だった。 水面の様に鏡の表面が揺れる。 冷たさが指先に伝わる。 留まる事を知らない感触はするすると指から手首へ、手首から腕へと簡単にあなたを飲み込む。 ひた、と顔まで浸される。 髪がゆらゆらと揺れ、水中に潜り込んでいる感覚だった。 深い、深い、海の様な。 ……こぽ、と泡が吐き出される。 ☆SANチェック(0/1)

染谷千秋 : 1d100<=50 【SAN値チェック】 (1D100<=50) > 87 > 失敗 [ 染谷千秋 ] SAN : 50 → 49

・・・ ――あなたが次に瞬きをした時、視界に広がるのは無音の街だった。 先程と打って変わって、海の中の様な感覚は消え失せる。衣服や髪も濡れている感触は一切無い。 薄暗い夜に包まれていた日常は、真っ青な空が広がる非日常へと一瞬で塗り変わってしまった。 暑い風が頬を撫でる。真夏の熱が飽和している。あなたが立っているのは交差点の真ん中だと言うのにも関わらず、人の気配は無く、車一つ通っていない無人の街。 しかし店の位置や信号の速度、住宅街の並び等は全てあなたが住んでいる街そのものだった。

染谷千秋 : はぁ、と息を吐いて頭をかきます。 (千冬が起きる前に戻れりゃいいけど……。……千冬は巻き込まれてねーよな……?) 染谷千秋 : 辺りに目星!

目星どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 35 > 成功

辺りを見渡しても、やはり誰も存在していない。あなたのすぐそばにあるカフェのショーウィンドウに、あなたの姿が映る。一瞬、今の自分の姿とは異なった――病衣を着た、黒髪のあなたが反射したように見えた。

染谷千秋 : 鏡に触れたのは深夜0時ごろですか?

その時に時間を見ていなかっため正確には分かりませんが、バイトに向かう時間を考えれば、そうかもしれません。

染谷千秋 : (……迂闊だったな。……千冬に注意喚起しといて、はは、笑えね~) 染谷千秋 : (鏡に映る『別世界の自分』ね~……)噂について思い出しながら、この場に居ても仕方ないので適当にその辺歩きます。

貴方は誰もいない町を歩く。雨上がりだったのか所々に水溜りが溜まっていて、あなたの顔をはっきりと反射している。踏んでも先程のように向こう側の世界へ潜り込める――なんて事はなく、ぴちゃりと透明が跳ねた。 目星どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 7 > スペシャル

あなたが目を向けた途端、反射していたあなたの隣に沢山の誰かが居たかのような錯覚を覚える。 すぐにその錯覚は消え失せたが、水面に映るあなたは人に囲まれながら、満面の笑顔を浮かべていた気がする。

染谷千秋 : (……)自宅に向かいます。

あなたは自宅に向かう。外も内も、あなたのよく知っている自宅そのものだ。中には誰もいなかった。

染谷千秋 : 目星!

どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 58 > 成功

家具や小物の配置も、あなたの記憶と特に相違ないように思える。

染谷千秋 : 自分が飲み込まれた鏡に向かって触れてみます。

鏡はあなたの顔をはっきりと反射している。 触れると先程の様に向こう側の世界へ潜り込める――なんて事はなく、 こつ、と爪の当たる音が鳴った。 目星どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 87 > 失敗 案内人 : 「ここにいたんですね」

その時、背後から何者かの声が発せられる。鏡を注視する間もなく、あなたは振り返るだろう。

染谷千秋 : 「……誰だ?」目の前の女に目星!

目星どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 53 > 成功

目の前に佇む女を観察する。パンツスーツを着こなす女の表情は、感情が抜け落ちているかのように無であり、心情が読み取れない。

案内人 : 「私は案内人です。あなたの案内を任されています」 染谷千秋 : 「へぇ。どこに連れてってくれんの?」 案内人 : 「別の世界線、です。あなたの望む世界を見てみませんか。気に入らない別世界線を無かった事にしませんか。過去の選択を殺して全く違った今に戻りませんか」 染谷千秋 : 「……お前たちの目的は?誰から案内を任された?」 案内人 : 「……悪趣味な奴が気まぐれに作った遊びですよ」 染谷千秋 : 「へぇ。遊びね。じゃあ、そいつを満足させないと帰れないのか?……俺が興味ないって言ったらどうなる?」 案内人 : 「……この案内を断ることはできません。しかし、興味がないならそれでいい。それを見たあなたが何を思うか、何をするかは自由です」 染谷千秋 : はぁ、とため息をつき、腹をくくります。 「……過去の選択を殺す、ってのはどういう意味だ」

案内人は怠そうにコンコン、と鏡を叩く。 ――と同時に、水面が揺れたかの様に光が揺れた。

案内人 : 「見てもらったほうが早い」

案内人は視線で、鏡に触れるよう催促します。

染谷千秋 : 鏡に移動して触れます。

鏡に触れると、ざぶん、と水が跳ねる。 髪が揺れる。 肌が冷たい。 呼吸が出来る。 意識が掻き混ぜられる。 蝶として舞うあなた。 蜘蛛として糸を下がるあなた。 蟷螂として葉に紛れるあなた。 花として風に揺れるあなた。 三千世界が混じって、途切れて、千切れて、結ばれて。 あなたは本来、知る由も無かった世界に飛び込む事になる。 ・・・ ――次に自我が構成され直した時、目の前には、あなたの見慣れた建物があった。 そこはあなたと千冬が通っていた学校だった。通学路はたくさんの学生が行き交っている。 聞き耳どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=75 【聞き耳】 (1D100<=75) > 76 > 失敗

目星どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 72 > 成功

するとその人混みに見知った姿が現れる。あなたと千冬が並んで歩いていた。 顔立ちからあなたであることは分かるが、あなたが今までに試した髪型いずれとも異なっており、雰囲気が違っている。しかし容姿自体にこだわりはなく、千冬のためなら何にでもなれるあなただ。特におかしいとは思わないだろう。 それでも、他に何か違和感を覚える。……よく見ると、学年を示すネクタイの色が同一だった。 別世界のあなたに話かける人物が現れる。

?? : 「吉野、今ちょっといいか?」 千秋 : 「あー、後でな」 ?? : 「了解~」

別世界のあなたは、その人物に対して応える。まるでその名があなたのものであるかのように。

案内人 : 「この世界は、あなたと彼が家族ではなかった世界。同い歳の、赤の他人として知り合った世界です。あなたはこんな世界を歩むこともあったんですよ」 染谷千秋 : 「……へぇ……」しばらく二人の後についていって千冬の様子を観察します。

あなたは観察を続ける。別世界のあなたが、染谷千冬のことを小突いて、朗らかに笑っている。千冬もそんなあなたを見て、ふっ、と微笑んだ。 別世界のあなたが、千冬が、何を考えているかあなたには知る由もない。けれど少し見ているだけで、とても仲の良い関係であることが十分に窺えた。

染谷千秋 : 千冬に触れてみます。

その体に触れようとするが、すり抜けてしまう。

案内人 : 「今のあなたは精神体なので不可能ですよ。……それでは、あなたの話をしましょう」

案内人は視線を下ろす。その先を見ると、あなたの掌にはいつの間にか、拳銃が握られている。

案内人 : 「この世界線の自分を殺せば“無かった事”になる」 案内人 : 「例えばそう、あなたがアイスを食べるか食べないか悩むとする。アイスを食べなかった事を選んだあなたが殺される。その後の世界にはアイスを食べる事を選んだあなただけが残る。もちろん死体も血も“殺された世界線には”残る」 案内人 : 「あなたの世界にもありませんか? 犯人不明、容疑者不明の殺人事件が。あれ、全部その人自身の犯行なんですよ。……別世界線の、ですが」 案内人 : 「あなたが正史なのか、彼が正史なのか。あなたが外史なのか、彼が外史なのか。……胡蝶の夢を確かな物にしたいと思った事は有りませんか?」 案内人 : 「あなたのしたいように真実を捻じ曲げればいい。真実は無色。あなたの好きな様に彩ればいい」 案内人 : 「もちろん、あなたが全ての選択に満足していると言うなら――別世界線を鑑賞するだけにしましょう」 染谷千秋 : 「……殺した場合、俺の世界は変わんねーのか?」 案内人 : 「この世界線は、もう分かれてしまった後の世界。ひとつの道が潰えたからといって、既にある分かれ道のあなたには影響はないでしょう」 染谷千秋 : 「ふーん」トリガーガードに指を通して、拳銃を回して遊びます。 「俺の手で殺す必要あんの?」 染谷千秋 : 「特定のヤツを、全世界から抹消してほしい…って言ったら?」 案内人 : 「……私は、案内をするだけです。ですが、全世界からの抹消は不可能でしょう。世界線は無数に存在する」 案内人 : 「それに、あなた以外の殺害はできません」 染谷千秋 : 舌打ちをします。 染谷千秋 : 「……」 染谷千秋 : (……「全世界の俺を殺して、俺の世界の千冬に手出しできないようにする」ことも、「今まで千冬に手出してきた奴らを皆殺しにする」ことも出来ねーのか。……つかえねーな。……) 染谷千秋 : (……俺の千冬に手出される可能性がゼロになんなら、別世界の千冬を悲しませてでも、殺して回る価値があると思った) 染谷千秋 : (……けど、案内させるにも限界がある。 一つの世界を3分以内に見て回っても、せいぜい500が限界だ。 世界が無数にあって、まとめて全世界の俺を殺せねーなら焼け石に水だな。殺すだけ無駄だ。別世界の千冬悲しませてまでやることじゃねぇ) 染谷千秋 : (この世界で過ごした日数が元の世界にどう反映されるかもわからねーし、戻ったら千冬の弁当も作らねーと。……さっさと帰るか。ここで無駄に体力使うのもだりぃし、こいつらのいう最低限の案内だけ受けよう) 染谷千秋 : 「そーかよ。……次、案内しろよ」

案内人は怒ることも悲しむこともしなかった。

案内人 : 「そうですか。……次の世界、行きましょうか」

案内人は何処で買ったのか、ペットボトルの天然水を取り出す。 キャップを回し開ければ下に向け、地面に水溜りを作った。

案内人 : 「あなたが怪物になった世界を知っている。見て見ましょう」 案内人 : 「大知は閑閑たり、小知は間間たり。立派な知恵は悠々としているが、つまらない知恵に惑わされる人間はせこせこしている」 案内人 : 「この世界は三千以上の形があるんです、どんなあなたがいても、さほど驚く必要はないですよ」 染谷千秋 : 「……」

水溜まりの水面が波打つ。 あなたが飛び込めばざぶん、と水が跳ねる。 髪が揺れる。 肌が冷たい。 呼吸が出来る。 意識が掻き混ぜられる。 女性であるあなた。 男性であるあなた。 愛しい人がいるあなた。 生涯孤独なあなた。 三千世界が混じって、途切れて、千切れて、結ばれて。 あなたはまた、知る由も無かった世界に飛び込む事になる。 ・・・ ────次に自我が構成され直した時、あなたは静かな森の中に立っていた。 少し遠くには、小さな小屋がひとつ立っている。あたりは木々で囲まれていて、それ以外のものは見えない。まるで人目を避けてそこに佇んでいるようだった。耳をすませば、せせらぎがどこからか聞こえてくる。小川がどこかにあるようだ。 開けられた大きな窓から、室内が窺える。窓際にいたのは、千冬と――大きな怪物だった。顔と思われる箇所には赤々とした触手が蠢く、ずんぐりとしたカエルのような胴の生物を、あなたは見たことがあるだろう。いつか迷い込んだ電車内で。 窓の向こうから、そのカエルに語りかける千冬の声が聞こえた。 「千秋は、――」 あなたはひとつの可能性にたどり着くだろう。その怪物が、元々はあなたであったということに。

染谷千秋 : 「……これが俺?」 染谷千秋 : 「……」 染谷千秋 : 千冬に目星!

目星どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 81 > 成功

窓ガラス越しに見える千冬はとても穏やかだ。その怪物を前にして、愛おしいものを見るような表情を浮かべている。

案内人 : 「この世界は、あなたが怪物に生まれ変わった世界です。人智を超えるものとの遭遇によって廃人になってしまったあなたは、その後研究好きの別生命体によって自我を取り戻した代わりに、ムーンビーストの体で生きているようです」 染谷千秋 : 「……千冬は?」 案内人 : 「変わり果てたあなたを連れ出して、山奥でひっそりと自給自足をしながら暮らしているようですね」 染谷千秋 : 「……、……」 案内人 : 「……この世界線の自分を殺せば“無かった事”になる。あなたは、どうしますか」

手には拳銃が握られている。

染谷千秋 : 「……千冬。こんなの、さっさと捨てちまえよ」 染谷千秋 : 「……」銃口をムーンビーストに合わせて引き金を引きます。

あなたは、構える。 重みのある拳銃を。 しっかりと――平行世界の自分自身へと向ける。 数秒。 あなたは引き金を引く。 銃声が響いた。 鮮血が散る。 千冬の目が見開かれる。状況を遅れて理解したようで、慌てて駆け寄る。その瞳に、焦りと絶望の色が滲む。 ☆SANチェック(1/1D3)

染谷千秋 : 1d100<=49 【SAN値チェック】 (1D100<=49) > 97 > 失敗 染谷千秋 : 1d3 (1D3) > 1 [ 染谷千秋 ] SAN : 49 → 48 案内人 : 「“是と非、生と死、大と小、美と醜、貴と賤”等の現実に相対しているかに見える物は、人間の“知”が生み出した結果であり、それはただの見せかけに過ぎない」 案内人 : 「その何れも真実であり、己である事に変わりは無く、どちらが真の世界であるかを論ずるよりも、何れをも肯定して受け容れ、それぞれの場で満足して生きればいい」 案内人 : 「要は、それだけなんですよ。どんな世界に居ようがあなたはあなた」 案内人 : 「物の変化とは表面に現れた現象面での変化に過ぎない。蝶と人間が形の上においては大きな違いを持ちながら、共に己である事に変わりはない。万物は絶えざる変化を遂げるが、その実、本質においては何ら変わりのない」 案内人 : 「しかしあなたが望むのなら、その形を自身の好きな色に彩ってもいいでしょう。真実は無色なのだから」

案内人は窓ガラスに手を触れる。反射しているあなたの顔に深い波が立つ。 あなたにはまるでそれが闇夜に見る海の様に思えた。

案内人 : 「次の世界、行きましょうか」 染谷千秋 : 「そうだな。お前の言う通り、俺は俺だ。そこに正邪はないんだろーな。……けど、だからこそ、千冬の重荷になる俺は殺さなきゃいけねーんだ」 染谷千秋 : 「どっちの俺が真か、なんて関係ない。俺はこれを許せない。……こんなのを、千冬の幸せにしたくない」 染谷千秋 : 「ごめんな、千冬。……、……」幸せになれよ、と言おうとして口を噤みます。 化物の死体の側で呆然とする千冬の頬に手を寄せ、その頭を撫でる仕草をし、そのまま窓ガラスの方へと歩いて行きます。

あなたはそれに触れる。 水面の様に揺れる。 波が伝わる。 光があなたを飲み込んだ。 髪が揺れる。 肌が冷たい。 呼吸が出来る。 意識が掻き混ぜられる。 救世主なあなた。 誰一人救えなかったあなた。 人間なあなた。 神話生物なあなた。 三千世界が混じって、途切れて、千切れて、結ばれて。 あなたはまた、知る由も無かった世界に飛び込む事になる。 ・・・ ────次に自我が構成され直した時、あなたは潮の匂いを感じる。 意識が、軽くなる。詰まった呼吸が解ける。 ザザ、と波の音が聞こえる。曇天の下、暗く淀んだ海が、視界の端から端まで広がっている。 砂浜には、一人の人間――別の世界のあなたが座り込んでいる。 その顔立ちは、今のあなたより少し大人びているように見えた。光を失った瞳でぼんやりと海を見つめている。

千秋 : 「ちふゆ……」

波の音に掻き消されるほどのか細い声で、目の前のあなたは虚ろに呟き続けている。その様子は見ていて痛々しい。深い絶望を身に纏う別世界のあなたに何があったのかは、同じあなたなら想像に難くないだろう。

染谷千秋 : 「……」 案内人 : 「この世界は、あなたの兄、染谷千冬が、あなたたちの言う『怪異』に巻き込まれ失踪した世界。あなた一人が取り残された世界です。あなたの未来にはこんな可能性もあったんですね」 案内人 : 「今、殺しておけばこの世界線は“無かった事”になりますが、どうします?」 染谷千秋 : 「……千冬はどんな怪異に巻き込まれたんだ?」 案内人 : 「イスの偉大なる種族。奴らの目的は、知ったことではありませんが」 染谷千秋 : 「へぇ。イスの偉大なる種族、ね」帰宅したら調べようと思います。 染谷千秋 : 「……千冬はどうやって失踪した?今はどこにいる?」 案内人 : 「奴らの実験に付き合わされた結果、海に呑まれました。まあ死んでいるでしょうね」 染谷千秋 : 「その実験の内容は?」

案内人は、はあ、と淡々とした息を漏らす。

案内人 : 「これ以上は言いません。あなたは、あなたをどうしますか?」 染谷千秋 : 「はいはい」別世界の自分に向け銃口を、迷いなくトリガーを引きます。 染谷千秋 : (千冬を失ったことに気付いて、死んでくれたらいいけど……、死なずに諦められなかった時に俺の千冬に手出されるかもしんねー。見たもんはしょーがねーな。ここ世界の千冬がいないんなら、悲しませることもないし、殺しとくか)

あなたは引き金を引いた。 パァン、という軽やかな音とともに、赤い飛沫が舞う。 あなたと同じ色の瞳が、見えるはずのないあなたを見た。 あなたと同じ声が微かな音を漏らした。 あなたと同じ体温を持つ赤があなたの頬を濡らした。 ☆SANチェック(0/1)

染谷千秋 : 1d100<=48 【SAN値チェック】 (1D100<=48) > 62 > 失敗 [ 染谷千秋 ] SAN : 48 → 47 染谷千秋 : 「感謝しろよな~」自分の死体の側でしゃがみながら、それに向かって言います。 案内人 : 「嗚呼、吾が生や涯てありて、知や涯てなし。……なんて言葉もありますね。人の一生に限りがあるのに、知にはその限りがない。限りのある物の中で限りない物を追い掛けてもただ疲れるだけだ。……でしたっけ?」 案内人 : 「次の世界、行きましょうか」 染谷千秋 : 「ああ」死体を特に振り返ることもなく、案内人の後に続きます。 染谷千秋 : 「そうか?その限りないものを手に入れたいと思ったんなら、その過程に得た疲労だってイイもんだろ」 案内人 : 「……あなたは飽きないようですね。あなたにとっては残念かもしれませんが、次が最後で、最初の選択になります」 染谷千秋 : 「願ったり叶ったりだぜ。早く案内しろよ」

案内人は手を海に浸した。あなたたちは揃って海を覗き込む。 水面の反射が、あなたの顔をはっきりと映した。 あなたもそれに触れる。 波が伝わる。 光があなたを飲み込んだ。 時が過去に流れる感覚を身に負う。 あなたは今までの旅路で何を得て来ただろう。 探索者として何を失い、何を得たのだろう。 大事な物を取り戻せるかも知れない。 或いは、大事な物を手放してしまうかも知れない。 あなたは、知っている世界に飛び込んだ。 かつて、あなたが過ごしていた日常に。 ・・・ ────次に自我が構成され直した時、どこか知ったような初秋の風があなたの頬を撫でる。 目の前には九州に引っ越す前のあなたの住まいがある。 玄関の扉が、ガチャリと音を立てて開かれる。あなたと千冬、そして今は存在しない、あなたたちの母が出てきた。 彼らはあなたに気づく様子はなく、和やかに談笑している。

案内人 : 「平行世界の旅路は終わり。ここはあなた自身の世界。あなたがあの忌々しい混沌の神に出会った日。あなたの人生が狂い始めた日」 案内人 : 「親殺しのパラドックス、あるいは因果のループというものを知っていますか。ここであなたが、過去のあなたを殺すとどうなると思いますか」 染谷千秋 : 「過去の俺が消えたら、ここにいる俺との辻褄が合わなくなる。結果的に俺も死ぬんじゃねー?」 案内人 : 「すると、あなたを殺したあなたの存在が消えてしまう。ニワトリが先か、卵が先か。……この時、世界は再編されるのです。絡み合う世界を縒って、再び一つの糸が出来上がるのです」 案内人 : 「つまり、この世界のあなたを殺せば、あなたは再構成される。きっとあなたが『探索者』であった事実は“無かった事”になる」 染谷千秋 : 「……へぇ。俺が死ぬわけじゃないのか。『探索者』ってのは?」 案内人 : 「はい。しかしあなたがどう『再構成』されるかは、分かりません。どの糸で編まれるかは誰にも知りえないことです」 案内人 : 「正気と狂気の狭間で足掻く、哀れな人たち。それでも、その先の光を諦めない人たち。それが『探索者』です」 案内人 : 「さあ、どうぞ。選択を」 染谷千秋 : 「……。……俺が『探索者』じゃなくなった場合、千冬はどうなる?千冬も『探索者』じゃなくなんのか?」 案内人 : 「さあ、どうでしょうね」 染谷千秋 : 「……」しばらく観察してます。

あなたはしばらく、あなたとその家族を眺める。あなたが真白い部屋で思い出した過去の映像そのままをなぞる。陽だまりのように温かい母と、固い表情ながらもどこか優しさの溢れた兄、そしてにこやかに振る舞う弟のあなた。仲睦まじい『親子』そして『兄弟』のあなたたちだった。

染谷千秋 : 「殺さねーよ。帰ろうぜ」千冬の様子を眺め、しばらくしてから拳銃をその場に投げ捨てます。 染谷千秋 : 「この先千冬が安全に過ごせるってんなら、考えたけどな~、……なんてな」 染谷千秋 : 「……千冬と過ごした時間をなかったことにはしない。二人で決めるって千冬と約束したんだ。……俺は、千冬を信じてる」 案内人 : 「……そうですか」 案内人 : 「では、お疲れ様でした。あなたは様々な真実に自身の手で彩りを施しましたね」 案内人 : 「真実は無色と言いましたが、あなたの真実は何色でしたか」 案内人 : 「……まあいいです。元の世界へ帰りましょう」

彼女は近くにある窓ガラスを指先でつ、と触れる。 すると窓ガラスが水面のように揺れる。

案内人 : 「さあ。こちらへ。それでは、さようなら」 染谷千秋 : 「ああ。……じゃあな」窓ガラスの中に入ります。

冷たさが指先に伝わる。 留まる事を知らない感触はするすると指から手首へ、 手首から腕へと簡単にあなたを飲み込む。 ひた、と顔まで浸される。 髪がゆらゆらと揺れ、水中に潜り込んでいる感覚。 深い、深い、海の様な。 ……こぽ、と泡が吐き出される。 ・・・ ────あなたが次に瞬きをした時、視界に広がるのはあなたの部屋の天井だった。 先程と打って変わって、海の中の様な感覚は消え失せる。 衣服や髪も濡れている感触は一切無い。 様々なあなたを反射した非日常は、ようやく、あなたのよく知る日常へと姿を変える。 時刻は零時過ぎ、闇があなたを包んでいる。 今日も街中では噂が飛び交う。 今日も何処かで犯人不明の死体が上がる。 誰もが自身の真実に色を付けたがっている。 もしかしたら今のあなたはまるで違う自分が見る夢かも知れない。 もしかしたら今のあなたは怪物の自分が見る夢かも知れない。 もしかしたら今のあなたは孤独な自分が見る夢かも知れない。 もしかしたら今のあなたはかつての自分が見る夢かも知れない。 あなたは胡蝶の夢に明確な答えを見出した。 自身の翅に色を施し、それを真実とした。

* * *

End.【■色の翅】

☆報酬 パラレルワールドを歩んだ 1D20 のクトゥルフ神話技能 SAN回復1d3

染谷千秋 : 1d20 (1D20) > 14 染谷千秋 : 1d3 (1D3) > 3 [ 染谷千秋 ] SAN : 47 → 50

背景

ニャルラトホテプ―― 混沌をもたらし破壊することがその神性に刻まれている。 そのため無数にある世界を蹂躙、生物を愚弄し遊んでいる。 もっとも、その存在そのものが混沌であるため、言葉ひとつでその思考を定義することはできない。

案内人―― ニャルラトホテプの使いである人間。つまりはニャルラトホテプに良いように使われている。 ニャルラトホテプに変な気に入られ方をし、雑用係として傍に置かれている。 染谷千秋もこうなっていたかもしれなかったし、これからの未来でこの案内人のような立場に置かれる可能性もあるのかもしれない。 淡々としており、感情の波が少ない。 死にたくないから言うことを聞いた。自分が生きるために他者を蹴落とすことに躊躇いがなかった。一体何をしているのだろう。何のために生きているのだろう。今となっては分からない。 本名は叶(カナウ)。

・怪物に生まれ変わった世界 シナリオ「君を願う」を通過した千秋と千冬。二人で生きる幸せな未来を掴んだはずだったが殺された。

・一人だけが生き残った世界。 シナリオ「問:死の定義を教えてください」や「世界の終わりを君と見たい」で関わったβ世界線千秋(と「帰巣翻弄」でロストエンドを迎えた千冬)。デパートを出た後、海で呆然としている様子。 「世界の終わりを君と見たい」の時と少し流れは変わるが、この後もニャルラトホテプと対立するノーデンスの目に留まり、憐れまれて「世界の終わりを君と見たい」と同様の展開を迎える。

(シナリオに一部改変有)

おまけ

怪物に生まれ変わった世界の話:「君と生きる」