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Episodes

灯路帰譚

Episode10

Date:
2023.01.21
染谷千秋・染谷千冬
シナリオ制作者:
榎日シユ様
シナリオ頒布先:
pixiv
改変シナリオ:
URL

本編

「――良かった。……、帰ろう」

すべてを飲み込む漆黒の風景で、身を震わせて目を覚ます。 その闇をたったひとつ照らすのは、目の前の人が握る提灯のひかり。 そしてどうしてか自分もその人も、見慣れぬ和服姿だった。 あなたはその人と共に、二人で帰路を歩み出す。

行きはよいよい、帰りはこわい。 何も見ないで、聞かないで。

――俺だけに、この路みちを。

* * *

世界は、声で溢れている。 こんなにも、かき消されてしまうほどに。 「本当だって! ほら、昨日のインスタでね、おまじないらしいんだけど、」 「そうそう、何だっけ……テレビでやってて、あの俳優がさ~」 「はい、申し訳ございません、……弊社といたしましてもそちらの点は、はい、」 「結構良いカフェだったよ。彼女とも久々ゆっくり話せたし、あと貸し出しサービスがあって……」 あふれる声の狭間で、あなたの目の前に座る千冬が口を開く。 けれど――その瞬間、けたたましい笑い声が店内を揺らすほど響き渡り。 思わず言葉を飲み込んでしまった千冬は、あなたをじっと見つめたあと、視線を目の前のハンバーガーに映し、口を大きく開けて頬張った。 お互いの隠し事を打ち明け、数週間。 千冬が「次の土曜、出かけよう」とあなたを誘う。もちろんあなたは、それを二つ返事で了承した。 千冬はふらりとどこかへ出かけるのが好きだった。それにあなたも同行するようになってから、何ヶ月が経っただろうか。電車で一時間ほど揺られ、あなたと千冬は隣の県に訪れた。 ――突然の、雨。 快晴の予報を裏切るその雨に、周囲の人々からも悲鳴が上がる。 もちろん傘の手持ちはなく、駅までは遥か遠い。 困ったあなたたちは、咄嗟にすぐ傍にあったファーストフード店へ駆け込んで―― そうして、今に至る。 店内は満席に等しく、人々の声の波に飲まれた店内放送はほとんど聞こえやしない。 今も向かい合って座っているというのに、千冬との会話にも集中しづらいほどだ。まわりが邪魔でしかたがない。 世界に二人きりではない以上、どうしようもないことだと知っていたとしても。

染谷千秋 : 「突然降ってきたな~」 うるせーな、と思いながらシェイクをすすってポテトをかじります。 染谷千秋 : 口を閉じた千冬が気になります。また話を遮られるかもしれないので、その話は追求せずに適当に話題を振ります。 染谷千冬 : 「……すぐ止むといいが」 次はソースをつけたナゲットを手に持ち、黙々と食べています。 染谷千秋 : コンビニが近くにあるかどうか調べたいです。

現在地情報をオンにして検索すれば、徒歩10分もしないところにコンビニがあるでしょう。

染谷千秋 : 「な。まあ、あんま止まないようならコンビニで傘かってそんまま向かおうぜ~。こっから歩いて数分のとこにあるっぽい」 食べる千冬を見ながらエグチの包みを開けて食べ始めます。 染谷千秋 : 「ウマい。……千冬、ほら」 ひとくち食べてから千冬の方にハンバーガーを持っていきます。 染谷千冬 : 「そうだな……ん」 食べているものをごくり飲みこんだ後、口を開いて差し出されたハンバーガーを齧ります。 染谷千冬 : 「美味しい。……千秋も要るか」 自分の持つハンバーガーを千秋のほうに差し出します。 染谷千秋 : 「俺はいーよ。千冬いっぱい食べな」 そういって残りを食べ進めます。 染谷千冬 : 「……俺は食べてる。千秋もちゃんと食べろ」 染谷千秋 : 「俺はコスパいいから量食わなくていーんだって」 染谷千秋 : 「千冬、ついてる」紙ナプキンで千冬の口元を拭います。 染谷千秋 : 「そういや、なんでつらら見たいの?」 染谷千冬 : ふ、と小さく笑います。大人しく千秋に世話を焼かれます。 染谷千冬 : 「……見たいと思ったから」ぱちぱちと瞬きをした後、そう答えます。 染谷千冬 : 「……雪景色もきっと綺麗だ。今の時期だからこその自然を、見たいと思った」 染谷千秋 : 「はは、千冬らしいな」 染谷千秋 : 「俺、これも見たい」そういって観光スポットの近場にある施設を指します。 染谷千冬 : 「ああ、行こう。特に予定は決まってない。時間はたっぷりある」 染谷千冬 : 「……目的をその場で決めて、心の向くままに歩き回る。この目、この足で、その土地を感じる。……それが、楽しいと思う」 染谷千冬 : 「……いつもありがとう。千秋と一緒に見て回れて、嬉しい」 染谷千冬 : 「千秋も気になるところがあれば。いくらでも言ってくれ。今みたいに」 染谷千秋 : 「お礼はいいって。俺も楽しんでるんだしさ~」 染谷千秋 : 「千冬の好きなこと知れて嬉しいんだ」 染谷千秋 : 「お~。施設ばっかになりそうだけどな」言い終えてから冷めてしまったバーガーをかじります。 染谷千冬 : 「千秋は自然より建物のほうが好きか」 染谷千秋 : 「千冬と出かけるようになってからは同じぐらいだな~。 前まではその建物で働く人とか、どんな人が来るのかとか、人の行動見てる方が面白かった。自然は映像で済ませればいいって思ってたしな。 ……けど、実際見てみたら色んな発見あって、今では同じぐらい興味深いと思うぜ。これも千冬のおかげだな~」 染谷千冬 : 「……そうか」嬉しそうに、口元を綻ばせます。 染谷千冬 : 「……俺は、建物も好きだ。人の知恵や想いが詰まった建造物は面白い」 染谷千冬 : 「……赤レンガ倉庫は見たことがあるか? 当時の最新建築技術と外観の美しさが共存しているんだ。……千秋と行きたいな」 染谷千秋 : 「横浜にあるやつ?ないな~。 ……これからいくらでも見れるだろ?今度いこうぜ~」 染谷千冬 : 「……ああ、そうだな」

そうやって会話をしていれば――ふと意識の端に青が過ぎる。 窓の外に目をやれば、広がっていた雨雲の影が見つからないことに気が付くだろう。 灰色から空を取り戻した青が鮮やかにその天を染め、そそぐ光もまぶしくきらめく。ようやく雨が上がったようだ。 あなたの視線につられて千冬も窓の外に目を向け、晴々とした空を見るだろう。

染谷千冬 : 「雨、上がったな」 染谷千秋 : 「ちょうどいいな。出るか~」 千冬の分のトレーをまとめて片付けます。 染谷千冬 : 千秋の後ろについて、一緒に店を出ます。

店の外へと二人で出る。 見上げた空は青で塗られ、ちぎったような白い雲が浮かぶばかりになっている。 ただ、路上に残る水たまり、店先のテラス席や木々の枝が纏う水滴たちは、確かに過ぎ去った雨の影を残していた。

染谷千秋 : 周りは静かですか?

賑やかだった店内よりは静かですが、人通りはそれなりにあるでしょう。

染谷千秋 : 「そういや千冬、さっき店で何言いかけてたんだ?」 染谷千冬 : 「…ああ」少し黙り込んだあと、ようやく言葉を発します。 染谷千冬 : 「……食べないのか、って言おうとした」 染谷千秋 : 普段から千秋は千冬のことを観察しているので千冬の様子が普段と違ったら分かると思うんですよ。 目星で嘘ついてるかどうかわかったりしませんか?()

目星どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 80 > 成功

千冬に嘘をついている様子はありません。言葉を発するまでに時間があったのは、そんなことをすっかり忘れていて、思い出すのに時間がかかっていたからのように思えます。

染谷千秋 : 私が千冬を信じれていなかったみたいです。懺悔します。 染谷千秋 : 「ああ、そっか」

騒がしい雑音だらけの店内から、街の心地よい喧騒に飲まれ、ようやく落ち着きを得られたように思います。 目星をどうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 86 > 失敗 染谷千冬 : 「……あ」 染谷千秋 : 「ん?」 染谷千冬 : 「……掲示板だ」ふらふらと近寄ります。 染谷千秋 : ふ、と笑ってその後についていきます。

路傍にある掲示板は、町内会のお知らせが主なようで、イベントの告知やゴミの日のカレンダーが貼られている。 貼りだされた様々な情報の中には、つたない字で書かれた新聞があった。どうやら子どもたちが作った新聞のようだ。 その中で、とあるコーナーの内容が目に入る。 →情報タブ「掲示板の新聞」 『知ってる!? 都市伝説/ウラハリさま』 深夜に針を口にくわえて、水面器に張った水を覗き込む。 すると、ウラハリさまが将来の結婚相手の姿を水面に映してくれるという。 だが、その顔の目が黄色になって話しかけてきたり、後ろから肩を叩かれたりしたら要注意! 返事をしたり振り返ってしまうと、ウラハリさまに水の中に引きずり込まれて戻ってこれなくなってしまう。 そういう場合は声が聞こえなくなったり、手がどこかに行くまで無視し続けると良い。 【オカルト】、または【知識/2】をどうぞ!

染谷千秋 : CCB<=55/2 【知識/2】 (1D100<=27) > 85 > 失敗 染谷千冬 : CCB<=55/2 【知識/2】 (1D100<=27) > 99 > 致命的失敗 染谷千冬 : 「……千秋は、こういう都市伝説は信じるか?」 染谷千秋 : 「そうだな~。 俺達が経験した怪異と似たようなものかもしれないしな。 怪異を経験した人の話が噂になってく過程で変化したものとか、まあ……全く内容は同じではないにせよ、似たようなことはあってもおかしくないと思うぜ」 染谷千秋 : 「……千冬は?」 染谷千冬 : 「……前は、人が未だに解明できていないようなことがあってもおかしくないし、そうだったらわくわくする、と思っていた。でも、それを利用して人が作り出した嘘が大半だろうとも思っていた」 染谷千冬 : 「でも今は……複雑な気持ちだ。千秋が言うように、俺たちが巻き込まれるものと同じようなものだと思うと……未知だからといって、喜べないな」しょんぼりしています。 染谷千秋 : 「はは、そんなしょげんなよ。俺達が悪いもんに巻き込まれてるだけで、いい未知もあるしれねーしさ」 しょげてる千冬が可愛くて、くす、と笑ってから千冬の頭を撫でます。

千冬の頭に手を伸ばして撫でると、真っすぐな瞳があなたを覗きこんだ。あなたたちは目を見合わせて微笑む。 掲示板から離れ、目的の場所へ向かおうと、千冬と共に再び歩き出した折だった。 ふと気付いた。足元に、大きな水たまりがひとつ。 そのアスファルトの黒を溶かした海の中で、何かが光った。 白く瞬いた光に――どうしてか奪われた。 視線を。意識を。 その光に。 瞬いた、ひかりに。 ――奪われた。 ――あなたを見つめる、黄の瞳に。 視界を。 思考を。 自由を。 目が合った。それだけ。 それだけで。 できない。何も。逃れられない。 視線という針に射抜かれた蝶が如く、微動だにできないまま。 沈むように、黒く染まる。 千秋はSAN値-5とMP-2d6してください。

[ 染谷千秋 ] SAN : 58 → 53 染谷千秋 : 2d6 (2D6) > 9[4,5] > 9 [ 染谷千秋 ] MP : 16 → 7

・・・

[ 染谷千冬 ] MP : 11 → 3

ふるえて、そうして目を覚ます。 何より初めにおぼえたのは、「つめたい」ということ。 投げ出されていた指先が、押し付けていた頬が、力の抜けていた全身が。 熱を奪い取るような何かにふれていて、ひどく、寒い。 ゆっくりと。凍える身で、まぶたを開く。 広がるのは、視界の全てを塗りつぶす漆黒と――そこに舞う、白。 ああ、違う。 空はこれほどまでに黒いのに、天からふりそそぐ白いそれが、地平線までをも塗り潰している。 雪だ。 そのことばを思い浮かべた頃合いに、

染谷千冬 : 「――千秋!」

静寂の中で声がたったひとつ、はっきりと響いた。

染谷千秋 : 「……千冬?」震えながら振り返り、立ち上がります。

声の方を向けば、あなたへと駆け寄る姿がある。 安堵の表情を浮かべた顔はよく見知った千冬で、――でも何故か、見慣れぬ和服に身を包んでいる。 それから、知らないものはもうひとつ。 千冬の手の中に握られたひとつの提灯。 どこまでも広がる墨色の中を、そのひかりが、あたたかく照らしていた。

染谷千冬 : 「――良かった。千秋、帰ろう」

吐いた息を白く染めながら、千冬があなたへ手を差し伸べた。

染谷千秋 : 「……帰るって?」千冬の手を取りながら聞きます。

手を取ると、じんわりと温もりが伝わります。

染谷千秋 : 人肌の温かさにほっとします。 染谷千秋 : 千冬に目星振りたいです!

どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 15 > スペシャル

千冬を見ると、見覚えの無い和服姿だが丈などはきちんと合っており、駆けてきた時に少し開いた裾以外に乱れはない。 いつもどおりの様子で、目立つような異変はない。 持ち手となる棒の先に、丸形の提灯が吊り下がっている。中を覗けば、火の灯った一本の蝋燭が見えた。

染谷千秋 : 千冬の手が冷えてしまうことを懸念して手をそっと離します。 染谷千冬 : 離れてしまった手に一瞬、寂しそうな目を向けます。 染谷千冬 : 「……千秋。先に言っておく」視線を戻して、千秋を真っすぐに見据えます。 染谷千秋 : 「……?」 染谷千冬 : 「今、俺には黙っていることがある。でも、まだ言えない。後で絶対に言う。……だから」 染谷千冬 : 「だから、俺を信じてほしい。一緒に帰るために」 染谷千秋 : 「……ん。わかった。信じる」千冬の真剣な目を見て信じることに決めました。 染谷千秋 : 「……言えないことって、この場所に関わること?」

千冬は答えません。

染谷千秋 : ふ、と笑います。 染谷千秋 : 「どこまでなら俺に話せる?」 染谷千冬 : 「……今は、何も。ごめん」 染谷千秋 : 「そっか。気にすんな」 千冬の肩をぽんと叩いてから辺りを見渡します。

目星を振ることができます。

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 92 > 失敗

地面は終を知らずに白雪ばかりを広げ、自分たちの足跡以外に傷もない。 けれど、地を除く景色といえば、天頂から何もかもを塗り潰したようにただ黒い帳と、雪を被ったいくつかの枯れ木だった。 灰や銀鼠が混じるような斑模様ですらなく、ただただ一色だけで描いた闇の中。 ふぅと口唇から吐いた息が、降りやまぬ雪そっくりの色に滲んで、やがて宙へと溶け果てた。

千冬の掲げる提灯から伸びる光が、続く闇を照らしている。 灯りの届かない場所はただただ暗く、墨で塗り潰されたような世界が続く。 道標や目印になるようなものも特に見当たらない。

染谷千秋 : 自分に変化がないか目星!

よく目を凝らすまでもなく、自分の身を確かめると、千冬のように見慣れぬ和服姿になっている。 雪の中で横たわっていたからだろうか、袖や裾はところどころ濡れてより深い色に染まっていた。 目覚める前の持ち物はどこにも見当たらない。 【CON * 5】を振ってください。

染谷千秋 : CCB<=10*5 【CON × 5】 (1D100<=50) > 70 > 失敗

大きなくしゃみを一つしてしまう。体がひどく冷え切って、指先も凍りついたように上手く動かせない。HP-1。 これ以上ここにいると、全身が氷像のように固まっていく未来すら見えそうだ。

[ 染谷千秋 ] HP : 12 → 11 染谷千秋 : 「……とりあえず場所移動しようぜ。さむい」 染谷千冬 : 「……千秋、手を出せ」 染谷千秋 : 「俺の手冷えてるから今は駄目だ。 ……千冬、どっち行けばいい?」 染谷千冬 : 「俺は温かいから問題ない。知ってるだろう」 染谷千冬 : 「……それに、手を繋いでいたい」 染谷千秋 : 「冷えるかもしれねーだろ。……後でな~」はぁ、を息を吐いて手を温めます。 染谷千冬 : 「……次にくしゃみをしたら手を繋ぐ。俺のほうが温かい」 染谷千秋 : 「……はいはーい」 染谷千冬 : 「……こっちだ」

千冬が持つ提灯を見れば、そこから光がひとつの方向へと、おぼろに一筋を伸ばしている。 そちらは千冬がやってきたのとは異なる方向で、まっさらな白銀がただただ凪いだ海原のように広がるばかりだった。 そう言って千冬は、その光が示す方向へと歩み出す。

染谷千秋 : 千冬の隣を歩いていきます。

それでは、【聞き耳】を振っても構いません。

染谷千秋 : CCB<=75 【聞き耳】 (1D100<=75) > 4 > 決定的成功/スペシャル

音を食らう雪の大海で、足音ふたつが鳴る。 そんな世界では隣で何かを話す千冬の声が、やけにはっきりとした輪郭で響いた。 ――ふと、音。何かが落ちるような。 千冬の声から意識をそらす。音の方を見やれば、そこにひとつ。 雪を帽子のように頭に乗せた、一つの立て札が佇んでいた。 ……どうして今まで気が付かなかったのだろう? あなたはその立て札を注意深く観察する。木製のそれには、一枚紙が貼り付けてある。 子供がでたらめに筆を走らせたような落書きがある。 赤い染料で描かれた火に似たものに、墨で大きなバツ印が力強くつけられている。 それをあなたが眺めていれば、背後から声がかかる。

染谷千冬 : 「……何を見ているんだ?」

振り返った先で、千冬がひどく怪訝そうな顔をしてこちらを見ている。 その手の中で提灯の炎が――ぐにゃりと、妖しくゆらめいたように思えた。

[ 染谷千秋 ] ★ : 0 → 1 染谷千秋 : 「この立て札、ちょっと気になってさ」 染谷千冬 : 「……そうか」 染谷千冬 : 「……寒いだろう。早く行こう」 染谷千秋 : 「おー」 染谷千秋 : 「千冬はどう思う?あれ」 染谷千冬 : その言葉に対して答えません。 染谷千秋 : (……へぇ)さっきの言葉を思い返します。 それ以上は何も聞かずに千冬の横を歩いていきます。

そんな話をしている間にも、白は絶えず降りそそぐ。 道のない白の地に、ひとつひとつと足跡を落とす。 幾分か進んでもそれでもまだ先は暗く、果ては見えそうにない。 続く雪と闇のその先を、千冬の手の提灯がぼんやりと照らし続けている。

染谷千秋 : 「な~千冬、その提灯俺が持ってもいい?」 染谷千冬 : 「……構わない」千秋に提灯を手渡します。 染谷千秋 : 提灯に目星!

どうぞ!

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 53 > 成功

受け取る時に、手が提灯に近づいた。 この寒さの中でも、ほんのりと温かい。

染谷千秋 : 「さんきゅ~」 染谷千冬 : 「……光の差す方向へ行こう」 染谷千秋 : 「ああ」歩きだします

【DEX * 5】を振っても構いません。

染谷千秋 : 振りません。

慣れない雪道を、着慣れない和服姿で。 それでも確かな足取りで、広がる白の中にふたりの足跡を並べていく。

染谷千冬 : 「ここまでの雪は、珍しいな」 染谷千秋 : 「そうだな。関東はあんま降らないしな~」 染谷千秋 : 「……久々に雪合戦してぇ~」 染谷千冬 : 「……今はしないぞ」 染谷千秋 : 「わかってるって~」 染谷千冬 : 「……雪が積もっているところに、遊びに行くのも楽しそうだ。ウィンタースポーツができる。……まず、帰らないとな」 染谷千秋 : 「そうだな~。なー千冬、次の長期休み北海道いかね?」 染谷千冬 : 「いいな。行きたい」 染谷千秋 : 「はは、楽しみ」千冬の表情を見て笑います。 染谷千秋 : 今自分の体調どんな感じですか?

提灯のおかげか少しだけ温まっています。しかしそれでも冷たい風が肌に刺さっていて、体調が良いとは言えません。

染谷千秋 : 温まったら手繋ぎてえな~と思いながら歩きます。 染谷千冬 : 「……こんな現実では見られないような広大な銀世界、……銀世界と言うには暗いが……ふたりきりの世界だ」 染谷千秋 : 「そうだな~」 染谷千秋 : 「……わるいことしてるみたいだ」 染谷千冬 : 「……わるいこと?」 染谷千秋 : 「千冬のこと攫って連れてきたみたい。……なんてな~」 染谷千秋 : 「変なことに巻き込まれてなきゃ、千冬と気が済むまでここにいるんだけどな~」 染谷千冬 : 「……もし、千秋と世界にふたりきりだったらと、考えたことがある」 染谷千冬 : 「ふたりだけなら、千秋以外のことを何も気にしなくていい。本気で思ってるわけじゃない。それでも一瞬、……」 染谷千冬 : 「……それも、楽しいと思う。千秋がいるから。きっと穏やかに暮らせる。……でも、俺も千秋も、人に囲まれている。俺たちが生きているのはそんな世界だ。だから、やっぱり思わない」 染谷千冬 : 「俺はそんな世界で生きる千秋を好きになったから」 染谷千秋 : 「千冬……」千冬の口ぶりから自分に対する愛情を感じます。 染谷千秋 : 「……さんきゅ。俺も千冬が好きだ」千冬に近付いて口付けします。 染谷千冬 : 「……そうか」千秋が離れようとした時に、その腰に手を回してより強く抱きしめ、キスを続けます。 染谷千秋 : その口付けを受け入れます。千冬の背中に片腕を回して口付けを深くします。 しばらくして唇を離し、千冬の鼻尖に軽く唇を押しつけてから顔を離します。 染谷千秋 : 「……俺は、時々考えるよ。二人きりの世界。 千冬が何かに巻き込まれる心配もなく、誰かに邪魔されることもしがらみもない、自由で穏やかな世界。 千冬しかいない世界で千冬と笑って暮らせたらいいって思うことがある」 染谷千秋 : 「……けど、千冬の言う通り、俺達が暮らしているのはこの世界で、俺もそんな世界で生きる千冬が好きだ。 千冬と二人で生きていくって約束した、……千冬が好きなこの世界が、あるべき姿なんだろうと思う。 だから……、なんだか今、千冬を誘拐してる気分だ」はは、と笑って歩きだします。 染谷千秋 : 「な、千冬。……やっぱ手繋いでもいい?」 染谷千冬 : 「……もちろんだ」手を絡ませます。 染谷千秋 : 「冷たくなったら遠慮せずに言えよな~」 染谷千冬 : 「心配しなくても大丈夫だ」 染谷千秋 : 強情な千冬にふっと笑います。「そーかよ」

・・・ 隣を歩む千冬と話をしながら、一歩。紡ぐ言葉が、白く濁る息を纏って夜に溶ける。 その様を眺めながら、灯りに誘われもうひとつ。 歩を重ねた、そのときに。 ――鮮やかに、紅く。 白と黒の双色だけで描かれていた視界に、紅が宿る。 でも、その名前だけではない。 赤、緋色、朱色、茜。ひとつの名だけで表せない微かな色の階調は、夕暮れに滲む空から盗んできたみたいだった。 その色が黒い空にたなびく雲のように、広がって―― やがて、ひらりと。 一枚、何かがあなたの前を落ちていく。 見れば、それは幼子の手のひらのような葉。そうして、目の前の光景を理解する。 一面に広がる、地に落ちた紅葉の海だった。 暗い闇の中、赤く染まった葉をまとって着飾った木々が幾本も並ぶ。 提灯以外に灯りの類は見えないのに、木や葉は星を砕いてまぶしたように仄かに輝いていた。

染谷千冬 : 「……秋だ」

見回してもどこにも白は無く、代わりに降り積もった紅色が続いている。 寒さも先程より和らいだように感じられた。秋の頃合いの気温だろうか。 千秋が掲げた提灯は、やはりぼんやりと闇の先に一筋の光をつないでいる。 二人は再度そちらへ向かって歩き出すだろう。 道というものはなく、まばらに並ぶ木々の姿は森と呼ぶ方が近いだろうか。 黒の中、浮かび上がる紅の枝に見下されながら、紅を敷き詰めた地を歩いていく。 ひらり。舞い散る葉があなたの肩を撫で、けれど滑り落ちるようにして足元の海の一片となった。 <聞き耳>を振っても構いません。

染谷千秋 : 振りません。 染谷千秋 : 千冬を信じます。 染谷千秋 : 「……壮観だな」 染谷千冬 : 「……ああ、すごいな」 染谷千冬 : 「紅葉のライトアップみたいだ。でも、もっとすごい。ずっと自然が広がっている。……もったいないな」 染谷千秋 : 「……そうだな」紅葉を見て目を細める千冬を見つめて愛おしく思います。 染谷千冬 : 「……千秋の好きな季節は何だ?」 染谷千秋 : 「冬だな。……空気が澄んでて星が綺麗だから」 染谷千秋 : 「千冬は?」 染谷千冬 : 「……決められない。どの季節にも、好きなところがある……」 染谷千冬 : 「……千秋は星が好きなのか。行きたいな、星の綺麗なところに」 染谷千秋 : 「星を見てると落ち着くんだ。バイトしてた時によく見てた」 染谷千秋 : 「ああ。……約束な」 染谷千秋 : 「……それぞれどんなところが好きなんだ?」 染谷千冬 : 「そう、なのか。初めて聞いた。……千秋について、知らないことが多くある。もっと知りたい。千秋のことを聞かせてほしい。俺のことよりも」 染谷千秋 : 「たいした話じゃねーって。 時々さ、千冬は今何してるかなって星を見てたんだ。……それで星……、空が好きになったのかもな」 染谷千秋 : 「……千冬の番」千冬の手をくいっとひきます。 染谷千冬 : 「……そうか。……俺も、空は好きだ」嬉しさで顔を綻ばせます。 染谷千冬 : 「……春の陽気は心地が良い。植物が咲いて、生き物が穏やかに生活している。夏は鮮やかな色彩とその空気に、漲る活力がある。秋は穏やかで、でも少し冬の混じった冷えた風が心を落ち着かせる。冬は、生物や植物が静かに休んでいるからこその寂しさが良い」 染谷千冬 : 「空なら……春の温かな空とぽっかり浮かぶ雲、夏の真っ青な空を背景に立ち昇る入道雲、秋の清々しい空とうろこ雲、冬の透き通った水色の空……どれも好きだ」 染谷千秋 : 「千冬は、……世界が好きなんだな」四季折々の美しさを楽しめる千冬を少し眩しく感じます。 「千冬の好きな景色、一緒に見ようぜ。もっとさ」 染谷千冬 : 「……ああ、一緒に見たい。千秋と一緒に色々なものを感じたい」 染谷千秋 : ふ、と笑って千冬の耳を食みます。 染谷千冬 : 「……どうした」 染谷千秋 : 「ん……、なんとなく」頬にキスして歩きだします。 染谷千冬 : 「……ふ」繋いでいる手の指先を使って、千秋の手の甲をなぞります。

話をしながら、千冬と秋の中を進んでいく。 どうしてか光を帯びる木々と、提灯の光に照らされるあなたたち二人の姿だけが、暗中に輪郭を持って描かかれる。 <目星>を振っても構いません。

染谷千秋 : 振りません! 染谷千秋 : 俺は千冬だけを見てます。 染谷千秋 : 「千冬は、自然を好きになったきっかけとかあるのか?」 染谷千冬 : 「……最初のきっかけは、特に覚えていないな。千秋と釣りをした川かもしれないし、アスレチックを囲む森だったかもしれないし、どこまでも続く空だったかもしれない」 染谷千冬 : 「……いつからかそこにあって、時間とともに変化しながら自然に存在しているもの。好きというより、その神秘さに心が惹かれているのかもしれない」 染谷千秋 : 「じゃあ、千冬がよく外に出るのは、自然を知るためなのか?」 染谷千冬 : 「……知るため、ではないな。見ていたいだけだ」 染谷千秋 : 「そっか」 染谷千冬 : 「……俺も、千秋の好きなものについて、もっと知りたい」 染谷千秋 : 「千冬」 染谷千冬 : 「……俺も、千秋のことは大好きだが。他には……」 染谷千秋 : 「……。千冬がいる家。千冬が話す内容。千冬と行く場所。千冬とする事。千冬が好きなこと。千冬と食うご飯。千冬と吸う空気。千冬と……」といって千冬に関連する物事を挙げていきます。 染谷千冬 : 「……」 染谷千冬 : 「……俺のことが本当に好きだということはわかった」 染谷千冬 : 「……でも、俺以外にも、好きなものを作ってほしい」 千秋と繋いだ手に、ぎゅっと力を入れます。 染谷千秋 : 「……」答えずに千冬の方を見ます。 染谷千秋 : 「……本当に理解ってるか~?」 染谷千秋 : 「要らねーよ。千冬以外」 染谷千冬 : 「……強情だな」 染谷千秋 : 「そうか~?」 染谷千冬 : 「好きだと思えるものは、きっと他にもある」 染谷千秋 : 「そう言われてもな~……」繋いでる手の親指を撫でます。 染谷千秋 : 「……本当に、俺は千冬さえいればいいんだ。作ろうと思わないし、作る必要がない。何も欲しくない」 染谷千冬 : 「……千秋にそこまで想われているなんて、知らなかった。嬉しいが、……」 染谷千冬 : 「それは、寂しい。好きなもの……千秋をつくるものは一つだけじゃなくていい。もっと色々なものを見つけてほしい」 染谷千冬 : 「……千秋が感じられることは、他にもあるだろう。このご飯が美味しかった、とか、暇な時間についしてしまうこと、とか。どんな小さなことでも、好きという気持ちだ。それに目を瞑るのは、もったいない」 染谷千冬 : 「……色々な考えがあるから、俺が強く言えることじゃない。自分を強く持って生きられる人もいるかもしれない、が。でも俺は、人は他の人や、色んなものと影響し合いながら生きていると考えている。寄りかかれるものは一つよりも、たくさんあったほうがいい」 染谷千冬 : 「……だから、探さないか。千秋の好きなもの。無いならないで、いい。俺はいくらでも千秋に愛される。でも、諦めるのは早い。俺も一緒に探すから」 染谷千秋 : 「……。わかったよ」目を伏せて答えます。 染谷千秋 : 「……なら、千冬の好きなもの教えてくれよ。俺は他に好きなもんねーし、興味もねーけど、……千冬が好きなものなら興味持てると思うからさ。 千冬が何でそれを好きなのか、それに触れてどう感じるか教えてくんない?そこから探していくからさ。……いいだろ?」 染谷千冬 : 「ああ、もちろんだ」

風はもうとっくに止んでしまって、葉を踏みつける足音ふたつだけが鳴っていた。 音もなく葉が舞う。秋雨のように落ちゆく緋のひとひらが視界に映った、その時。 千秋は<1d100>を振ってください。

染谷千秋 : 1d100 (1D100) > 61

――“掴まれた足首”が、後方へ引っ張られる。 倒れ込みそうになるのを踏みとどまり、咄嗟に振り向く。 けれど、そこには――誰の姿もなく。 ただ今まで歩いてきた黒の帳を、紅の葉が泳ぐだけ。

染谷千秋 : 「……」

あなたが掴まれた、と感じた足首には――青黒く、紅葉のような幼い手のひらの跡が残っていた。 あなたはそれを見て、 ……可哀想だ、と、思った。こんなふうに一生懸命に掴んで。 ああ、そうだ、……呼ばれたなら、 ……自分は、 留まるべき では ないか?

染谷千冬 : 「……千秋?」

ひかりが、視界を焼く。それから声が届く。 はっとして顔を上げれば、千冬が心配そうにこちらを見ている。 ……そして、今。……何かに侵されていた己の思考に、気付いた。 SANc 0/1

染谷千秋 : 1d100<=53 【SAN値チェック】 (1D100<=53) > 82 > 失敗 [ 染谷千秋 ] SAN : 53 → 52 [ 染谷千秋 ] ★ : 1 → 2 染谷千秋 : 「……、何でもない。行こうぜ」 染谷千冬 : 「……わかった」

・・・ 闇を分かつように伸びる光を辿って歩んでいく。 もうどれくらい歩いただろうか。 落ちる陽光もなく、時計の針に示されなければ流れた時すら見失う。 迷い子のように道なき闇を歩いては、目先でゆれる灯りを眺めていた。 ――その折に。 また、景色が塗り変わる。 広がる闇は先までと同一だった。先の見えない、漆黒の帳。 けれど今、そこを舞うのは赤い葉ではなく――いくつかの光。 まばゆく輝く小さなそれらは、所々に生えた草に止まり、気ままに瞬いては、ふんわりと闇を泳ぐように飛ぶ。 そして肌を撫でる空気も、どこか微かに熱を帯びたものへと変わっていた。

染谷千冬 : 「……蛍みたいだ」

千冬はそう呟いた。あなたの手の中で、提灯は相変わらずただ一方向へと光を伸ばしている。 蛍のように明滅する光は、歩くあなたたちに襲いかかるようなこともない。 声も無く音も無く、闇で満たされた風景の中に灯り、戯れのように宙を舞う。 どこか遠くからは、夜長に鳴く虫の音も聞こえていた。 そんな闇に描かれた夏の姿の中で、千冬が突然首をかしげる。

染谷千冬 : 「水音がする」

あなたも意識を向けてみれば、千冬の言うように前方から水音が届く。 歩を重ねるごとにそれは大きく鳴り、闇に響き。 やがて、その正体が目でもはっきり見えるようになっていた。 ――大きく、闇を映して広がる川。 その水面では、宙を踊るひかりが鏡映しの黒の中で泳ぐ。 先は遠く深さもかなりあるようで、泳いで渡るのも難しそうだ。今の服装ではことさらに。 けれど提灯のひかりは持ち手の困惑など知らず、川の中へとその先を向けている。 目星を振ってください。

染谷千秋 : CCB<=83 【目星】 (1D100<=83) > 16 > スペシャル

少し行った先に、手漕ぎ式の木の舟が停められているのが見えた。

染谷千秋 : 「あの舟使えそうだな」 染谷千冬 : 「舟? ……ああ、本当だ。目が良いな」

近づいて見てみれば、特段変わったところのない木製の舟だと分かる。 穴などが空いていることもなく、あなたたち二人を乗せる分には問題ないだろう。 この舟を進めるための櫂もきちんとついている。

染谷千冬 : 「これに乗るしかなさそうだ」 染谷千秋 : 「だな~」提灯を千冬に渡して舟に乗ります

舟に乗り込み、提灯も舟底に置く。 提灯は千秋の手を離れたとて特に変わること無く、あたたかな光をこぼしている。 頭上では相変わらず小さな光が飛び交い、漕ぎ出そうとするあなたたちのことを眺めるみたいだった。 それでは千秋は<DEX*3>を振ってください。

染谷千秋 : CCB<=13*3 【DEX × 3】 (1D100<=39) > 51 > 失敗

慣れない操縦で、舟が大きく揺れる。しかし前には進めることができるだろう。 漕いでいるうちにこつを掴んだのか、揺れも次第に収まってきた。 あなたたちを乗せた舟は、穏やかな流れの川の中をゆったりと進んでいく。 周囲では変わらず光が星のように瞬き続け、流星のように闇をなぞる。 <目星>を振っても構いません。

染谷千秋 : 振りません。

あなたは”覚悟”を決めていました。

染谷千冬 : 暫く静寂が続いた後、おずおずと言葉を切り出します。 「……聞きたかったことがある。聞いていいかどうか、わからなかった。でも、話すべきだと思った。……」 染谷千冬 : 「……戸塚組、とは何だ」 染谷千秋 : 「……」 染谷千秋 : 「いつ、誰から聞いた? ……そいつに何言われた」 染谷千冬 : 「……前の怪異の時、人工知能が千秋がいたという話をしただろう。その人工知能の千秋が言った」 染谷千冬 : 「頼まれたことは、戸塚組を名乗る人物が現れたら、千秋はもういないと伝えること。それでもしつこいようなら、引き出しの金を渡すことだ」 染谷千冬 : 「……千秋は、何をしたんだ」 染谷千秋 : (戸塚組の人間が千冬に接触したわけじゃねーのか。……俺の人工知能、余計なことばっかしやがって)はぁ、とため息をつきます。 染谷千秋 : 「……聞いてるかもしんねーけど、戸塚組は、俺達の街を拠点としてる指定暴力団の二次団体だ。 高1の時に興味本位で手出して、そっから目つけられてた。今は縁切ってる」 染谷千秋 : 「……けどいつ向こうの気が変わるかわからねーから、保険で手切れ金を残してる。……それだけだ」 染谷千冬 : 「……」 染谷千冬 : 「……それって結局、縁が切れたとは限らないということか? 気が変わるかもしれないっていうのは、どれぐらいの可能性としてあるんだ」 染谷千秋 : 「ない、と思う。組長は筋を通す人間だからそこからの連絡はないと考えていい。……現にここ一年以上、相手から連絡はきてない。 俺が手切れ金を残してるのは、組同士の抗争で俺の情報が外部に漏れた時に備えてだ。……脅されていいように使われるよりは金を渡した方が楽だから、万が一に備えて置いてある」 染谷千冬 : はあ、とため息をつきます。 「千秋の馬鹿。……何がだめだったか、分かっているか?」 染谷千秋 : 「……ごめん。……、……興味本位でヤクザに手を出したことと、それを千冬に言わなかったこと?」少し考え込んでから言います。 染谷千冬 : 「……」 眉間に指を当てて考え込みます。 染谷千冬 : 「俺に言わなかったことじゃない。……暴力団と関わるなんて危険すぎる。それがどうしてだめかというと、今みたいに手が切れなくなる可能性があるから、知らない間に犯罪に巻き込まれたり、利用されて取り返しのつかないことになったりする可能性があるからだ。……わかっていないな」 染谷千冬 : 「だから、そういう人間と関わってはいけない。……千秋、自分の身を大切にしてくれ」 染谷千秋 : 「ああ。……わかった」 染谷千冬 : 「……」 染谷千冬 : 「……千秋の都合が良い時に、この街を出よう。遠いところに住もう」 染谷千秋 : 「へ? ……家はどうすんだよ。あの家、思い入れあるだろ。 ……千冬。ヤクザのこと気にしてんなら……大丈夫だって。家から離れた場所で合うようにしてたから、連絡先しか知られてない。……こねーようにするしさ」 染谷千冬 : 「人はどこでだって生きていけるし、千秋と一緒ならどこだっていい。……人工知能の千秋は、俺のところに組の人間が現れることを危惧してた。大丈夫だろうと思っていても、やっぱりその心配は消えないんだ。なら、絶対追われないような遠くへ行って、やり直そう。怯えながら暮らすよりずっといい」 染谷千秋 : 「……千冬の気持ちは嬉しいけど、駄目だ。千冬、この間内定出たばっかだろ。目指してたとこなんじゃねーの」 染谷千冬 : 「辞める」 染谷千秋 : 「……、…………、駄目だ」 染谷千冬 : 「駄目じゃない」 染谷千秋 : 「……千冬」 染谷千冬 : 「何だ」 染谷千秋 : はぁ、とため息をついて漕いでいた手を止めます。 「……俺に将来考えろって言ったのは千冬だろ。その千冬が、こんなことで内定辞退すんのか。 ……駄目だ」 染谷千冬 : 「将来を考えろと言ったのは、こんな意味じゃない。内定はそれほど大切なことじゃない。辞退したからといって将来が無くなるわけでもない。仕事なんていくらでもある。家から通える範囲で探していたが、やっぱり家を出るから辞める。それだけだ」 染谷千秋 : 「……駄目だ。内定を蹴ることでその後の就職活動に影響が出る可能性がある。そもそも内定先の信用を失うだろ。今後働く上でそれが影響しないって言い切れるか?同じ業界なら取引先にその会社がくることも考えられるだろ。千冬が内定辞退したからって理由で取引が取りやめになったらどうする」 染谷千秋 : 「……千冬の気持ちは嬉しいよ。けど、駄目だ。 俺ために千冬が本来歩むべきだった道を、キャリアを捨ててほしくないんだ。 軽率な行動だったのは謝る。 千冬に迷惑かけないようにする。だから……頼むよ」 漕ぎ始めます。 染谷千冬 : 「……俺も同じことをさっき思ったんだ。わかったみたいだな」 染谷千冬 : 「……そこまで大きな問題にしなくていい。もちろん、良くはないことだが……影響が出ても、大したことじゃない。内定辞退によって全く上手くいかなくなるなんてことない。他の方法があって、なんとでもなる」 染谷千冬 : 「俺はこの会社や、この業界に強いこだわりがあるわけでもない。俺は仕事に左右されずに、仕事によって他の大事なことを見失わないでいたいと思う。後戻りなんていくらでもしていいんだ。だから、千秋は気にしなくていい」 染谷千冬 : 「……迷惑かけないようにすると言っても、それは簡単にできないことなんだろう。だから、今もできていなくて、人工知能の千秋も怖がっていた。……そうやって自分で背負いこもうとするな」 染谷千秋 : 「……組がその気になれば、俺がどこにいこうと追いかけてこれる。遠くに移っても同じなんだ。……」 染谷千秋 : 「背負いこもうとしてるわけじゃない。けど、……けじめはつけなきゃだろ」 染谷千秋 : 「迷惑かけないようにするってのは、……どうしようもなくなったら、別の手段を選ぶってだけの話だ」 染谷千冬 : 「……待て。けじめをつけるとか、別の手段を選ぶとか。……何をする気だ」 染谷千秋 : 「戸塚さん……組長から組に入れって言われてるんだ、俺。 もし組員に脅されて、どうしようもなくなったら、……組に入るつもりだ。 同じ組なら手出しはできないし……、利用されるぐらいなら利用した方がいいだろ?」 染谷千秋 : 「だからそん時は、……千冬から離れる。 家族はいないことになってるけど、組に入ったら流石に千冬の存在を隠せなくなるし、……そん時に俺と関わってたら危ねーから」 染谷千秋 : 「……言っとくけど、どうしようもなくなったらだからな」 染谷千冬 : 「……この、馬鹿! やっぱり何も分かってない、そんなこと、俺は許さない……」 染谷千冬 : 「自分の身を大切にしろって言った……千秋と関わっていたら危ないから、じゃない。俺のために、俺から離れる、じゃないんだ……」 染谷千秋 : 「どうしようもなくなったらだって……。 そうならないように、縁を切る時に出来ることはやってある。手切れ金を用意してるのもそれに備えてだ」 染谷千秋 : 「……ただ、万が一ってあるだろ。そん時に、逃げ回って目つけられるよりは森の中の木になった方がいいと思っただけだ。自分の身をないがしろにしてるわけじゃない。 相手がどう出るかわからないよりは、手の内知ってた方がいいだろ。 ……それに、離れるっていったって千冬と縁切るわけじゃない。今みたいに過ごせなくなるのは嫌だけど……、怯えて逃げ続けるよりはいいと思った」 染谷千冬 : 「どうしようもなくなった時に、そんな手段を想定するな。それは絶対にしてはいけない……いや、俺がしてほしくない……」 染谷千冬 : 「……」 染谷千秋 : 「……」 染谷千冬 : 「……ごめん。否定したいわけじゃない。千秋の考えていたことを、言ってくれてありがとう。 ……一度離れた場所にいけば、探すのも手間がかかる。それに、縄張りの外に出れば、簡単に手出しはできないんじゃないか。……よく知らないが。よほどのことがない限り、そこまで追いかけることはないだろう。だから、一度この街を出るべきだと思う」 染谷千冬 : 「……どんな場合でも、俺は千秋に暴力団には入ってほしくない。暴力団は、犯罪組織だ。千秋に犯罪に関わってほしくない。それこそ、後戻りができなくなる。それをどうしようもないからって諦めたら、繰り返しだ。そういうのは、断ち切らなきゃいけない。……それに、手の内が知れると思わないほうがいい。利用した側に回ったつもりでも、結局誰かに利用されているだけなんだ」 染谷千冬 : 「……俺はそれよりは、逃げ続けるほうがずっと良い。千秋を連れて、どこまでも逃げる。日本がだめなら、海外に行けばいい。仕事がなくたって、家がなくたって、生きようと思えばなんとかなる。……犯罪組織に身を投じて、いつ千秋の身に危険が起こるか分からない状態より、誰も知らないどこかで、千秋とふたりで暮らせればそれでいい」 染谷千秋 : 「……ごめん、軽率だった。……、……そうだな。千冬の言うとおりだ。街を出よう」 染谷千秋 : 「けど、逃げ続けることも難しいと俺は思う。……ないとは思うけどさ、……もしそれも難しくなったら警察に行く。……それでもいいか」 染谷千冬 : 「……そうならないように、願おう。その時はその時でまた考えて、相談しよう。今みたいに」 染谷千冬 : 「……千秋のことを知れて、千秋の考えが聞けてよかった」 染谷千秋 : 「……ああ。俺も、ここで千冬と話せてよかった」 染谷千秋 : 「……帰ったら、いつ街出るか、詳しく話そうぜ」 染谷千冬 : 「……そうだな」

ふと前方を見れば、千冬の背の向こう側に岸が見えている。 どうやら無事川を渡りきれたようだ。 先は相変わらず闇に満たされた漆黒だが、提灯の灯りは変わらずその奥を示す。 あなたたちは櫂を操って、岸へと舟を寄せることができるだろう。 提灯を手にした千冬が先に上がり、あなたもそれに続こうとした、のだが。 どうしてか、……足が、動かない。 立ち上がろうと込めた力が霧散する感覚がある。震える足が船底に張り付いたみたいに。 先に進むことを――己の身が、拒むみたいに。

染谷千冬 : 「……千秋?」

異変に気付いた千冬が、そう言ってあなたへと手を差し出す。 その千冬の背後で舞う蛍火の群れが――黄色の瞬きに、変わる。 蛍のような淡い光ではなく、痛々しいほどに鮮明な黄で輝くそれは警告灯に似て。 それがいくつも、待っている。 あれだけ気ままに舞っていたそれが、――あなたを注視する目のように留まり、待ち構えている。 あなたは千冬の手を取ることも、自分一人の力で立ち上がろうと試みることもできる。

染谷千秋 : 「……足が動かなくなった」千冬の手を取って立ち上がろうとします。

千冬の手に触れる。あたたかく、きちんとした輪郭を持つ手だった。 千冬があなたの腕を引っ張った途端、――あなたの足は、呆気なく力を取り戻す。 きちんと地面を踏んで、もう一度。共に、歩き出すために。

染谷千秋 : 「……?」歩けるか試します。

何の問題もなく、歩くことができます。

染谷千冬 : 「……大丈夫か? 抱えようか」 染谷千秋 : 「……や、大丈夫。気の所為だった」自分の足で歩きはじめます。 染谷千冬 : 「……そうか」もう一度千秋の手をしっかりと握って、提灯の灯りが指す方向へ歩きだします。

・・・ 川を離れ、提灯の火が照らす先を目指していく。 蛍火は黄に塗り替えられたまま舞い始め、それはあなたたちを追って来ているようにも思えた。 水の音は遠く失せ、どこかから聞こえていたあの虫の声々ももう届くことはない。 ただ明滅を続ける光の群れだけが、進むあなたたちを覆い囲んでいた。 その光も、途絶えて、 花が、舞う。 風景が夏を脱ぎ捨て、淡い色彩で視界は満ちる。 音もなく花弁が舞う。雪に似て、雪より紅く。けれどあの紅葉よりは、ずっと淡く。 並ぶ木がそれぞれの枝いっぱいに薄紅の花を咲かせ、その手からこぼれてしまうみたいに花が落ちていく。 広がる闇はそのままに、けれどその闇が見えなくなるほど。 ――満開の桜の木々が、あなたの視界を埋め尽くしている。 どうしてか頭上の花々は淡い光を帯びていて、月影に照らされた夜桜のようにも映る。 けれど木々の隙間や地面は黒で塗りつぶされたままだった。 散った花弁の上で提灯のひかりだけが煌々と道を作る。 暗い闇の中。雨のように、雪のように、ふりそそぐ花びらの中を歩いていく。 そうして――千冬が口を開く。

染谷千冬 : 「……もう一つ、話しておきたいことがあった」 染谷千秋 : 「ん?」 染谷千冬 : 「……俺たちの母について」 染谷千秋 : 「……ああ」 染谷千冬 : 「……前にこの話を聞いた時は、聞いていただけだった。というより、考えをまとめる時間が必要だった。……でも、ふたりでちゃんと話すべきことだと、思っていた」 染谷千冬 : 「千秋がしたこと……は、許されない、間違っている、と思う。でも……千秋と同じ立場なら、どうしようもないのだったら、きっと千秋と同じことをした。それに、『前』の俺は99人も殺したんだろう。千秋のことを、とても責められない」 染谷千冬 : 「……千秋が考えていた通り、どう思おうと過去は変わらない。千秋のおかげで俺が今生きているのも事実だ。……人は間違える。だからもし、千秋が後ろめたく思ったり、罪だと思ったりするのなら……」 染谷千冬 : 「俺も同じ罪を背負っている。千秋だけが抱えるものじゃない。……ふたりで抱えよう。そして、これ以上お互いのために、自分や他人を犠牲にするのはやめよう」 染谷千秋 : 「……」千冬の手を強く握ります。 染谷千秋 : 「千冬が犠牲を望まないんなら……なるべくそうする。けど、約束はできない。 千冬はわからないかもしれないけど、俺はあのことが間違いだと思ってない。 そうしなかったら千冬を取り戻せなかったんだ。 俺は俺の大切なものを優先しただけだ」 染谷千秋 : 「過去に戻っても、俺は何度だって同じ選択をする。そこに後悔も躊躇いもないよ。 千冬を取り戻せるなら、俺はどれだけ犠牲を払ってもいい」 染谷千秋 : 「……だけど、千冬がどうしても嫌で、これから危ない目にあっても犠牲者を出してほしくないんなら、そん時は……俺も同じところに行く」 染谷千秋 : 「千冬が死ぬ時は、俺も一緒に死ぬ。ずっと側にいる」 染谷千冬 : 「……そうか。……」 染谷千冬 : 「……千秋がそう思うなら、それでいい。正しいかは分からないが、それも一つの考え方なんだろう。……千秋は俺より強いな。俺だったらきっと、躊躇するだろうから」 染谷千冬 : 「……俺は千秋や他人を犠牲にしてまで生きたくない。そんなことになったら、俺は絶対に後悔する。……俺が死んでも、千秋には生きてほしい。でも確かに、それを千秋に押しつけるのは、俺の勝手だな」 染谷千冬 : 「もし千秋が死んで俺だけが生き残ったらと思うと、ぞっとする。実際に前、千秋が電車に飛び込んで死んだ時、現実を受け入れられなかった。そんなこと、認められなかった。……なるべく生きてほしい。生きていたら絶対に、小さな幸せを見つけられると思うから。でも、耐えられなければ……俺はそれを止められない。それが苦しいこともわかる。……だから、一緒に地獄に落ちよう」 染谷千秋 : 「……ああ。もしその時がきたら、一緒に地獄に落ちよう」目を細めてから、ふ、と笑います。 染谷千秋 : 「……けど、俺が地獄に行かないように、頑張ってくれるんだろ?」指の背で千冬の頬に触れます。 染谷千冬 : 考えていたことを見透かされて、目を見張ります。そして口角を上げます。 「当然だ。俺は死なない」 染谷千秋 : 「はは!」 染谷千秋 : 「言質はとったからな。その言葉忘れんなよ?」 染谷千冬 : 「ああ」

<聞き耳>を振っても構いません。

染谷千秋 : フリマセ~~~ン

不意に。――強く、風が吹き荒れる。 突然訪れたそれは激しく、まるで嵐のような勢いで春を揺らす。 木々が揺らいでざわめく。轟く風の音は唸る獣の声にすら聞こえた。 激しい風に桜が散っていく様に、吹雪の光景が重なる。 無残に散らされた花の亡き骸は風にさらわれて――前方に渦巻き、あなたたちの目の前を阻む壁を造り上げていく。

染谷千冬 : 「……」

苦い顔をする千冬が、提灯をそっと前にかざす。 すると光が届く部分だけ、微かに花びらが避けていくように見えた。

染谷千冬 : 「……きっとあと少しだ。走るぞ。しっかり握っていろ」 染谷千秋 : 「わかった」

千秋は<DEX*4>で判定してください。

染谷千秋 : CCB<=13*4 【DEX × 4】 (1D100<=52) > 71 > 失敗 染谷千冬 : CCB<=9*4 【DEX × 4】 (1D100<=36) > 96 > 致命的失敗

掲げられた灯りを頼りに、花の嵐の中を駆けようと地を蹴る。 けれど、一瞬。体がひどく重く、鈍くなる。 花の雨によって、自分のからだが地面に縫い付けられていく。 自分は。自分は本当に進んでいいのだろうか。 足が、頭が重くなる。 どうにか、前へ進む。 千冬が何かを叫んだ気がする。 誰かに腕を引かれている――誰、だっけ? 分からない。進んでいいのか。いい、のだろうか? じぶんが行くべきなのは あの方の、ところではないか?

進む、中で。――何か、水の音が、泡の音が、聞こえている。

[ 染谷千秋 ] ★ : 2 → 3

花弁の中をあなたたちは駆けていく。 幕切れは見えず、広がる闇を切り裂くように伸びた提灯の灯りを辿る。 闇の中でたった一筋だけ伸びるそれは、垂らされた糸にも似ているのかもしれなかった。 不意に、ひときわ強く。風が鳴く。 舞い上がった花びらで視界は遮られ、襲い来る嵐にあなたは思わず瞼を閉じてしまう。 その風が吹き抜け、訪れた凪の中で目を開き、 闇が在る。 闇だけ、が在る。 気が付けば、一人きり。 何の光も落ちない場所に、あなたは一人で立っていた。 光が無い。花も、音も無い。――千冬の姿も見つからない。

染谷千秋 : 「……!千冬!」

あなた以外の全てが黒以外を許されないような世界だった。 その色に染まれないあなたは、立ち尽くす。 どこに行けばいいのか分からなかった。 どこを向けばいいのかすら、分からなかった。 それでも微かな縁を求め、探せば、 ――それは、背後から迫っていた。 視線を感じるという言の葉を、我が身に走る悪寒で思い知る。 それを、背に受けていた。 ひとつ。ふたつ。みっつ、よっつ、いっつ。 いや、数えるのが馬鹿馬鹿しくなるくらい。数多の。無数の。 それが、あなたを見ている。 突き刺すように。舐めるように。どこへ逃げても 見る。見ている。あなたを。 見て。見ています。あなたを。 ずっと、どこかで感じていたのかもしれなかった。 隣の声と炎がうるさくて届かなかっただけで。 ずっと。ずっと。呼ばれていたのだった。 ずっと、ずっとずっと。 あの水面で目が合ったあの時から、ずっと。あなたを。 あなたは。 あなたは、振り返ることができる。

染谷千秋 : ガン無視します

あなたは振り返りますか?

染谷千秋 : ?????? 染谷千秋 : 振り返りません いいですか!ry

あなたは振り返りますよね?

染谷千秋 : 振り返りません。

いいえ

あなたは振り返ります

染谷千秋 : 振り返りません。

いいえ

振り返ります あなたは 振り返りましょう あなたは振り返りました 振り返りましょう あなたは振り

染谷千秋 : 振り返りません。

千秋

いいえ 千秋は あなたは振り返りました あなたは振り返ります

いいえ

染谷千秋 : 振り返りません。

千秋は振り返ります 千秋は振り返ります 千秋は振り返ります 千秋は振り返るのです

振り返りましょうね 振り返振り返振振返って振りかえり

いいえいいえいいえいいえいいえ

千秋は振り返らなければなりません

染谷千秋 : 振り返りません。

100%-(★の数*5)%=成功率として判定してください。 つまり、85%の成功率です。

染谷千秋 : ccb<=85 (1D100<=85) > 19 > 成功 染谷千秋 : 千冬の元に行く(19)ぞ

声がする。蝕む声が、した。 闇の中で。何も見えない、何も聞こえない絶対の黒の中で。 その視線が、その声だけが在って―― ――でも、あなたは振り返らない。 それではないと知っている。 それではない、と選んでいる。 その相手しかいない場所だから、その相手の声を聞くのではない。その相手を見るのではない。 自分が見るべきものも、聞くべきものも。 あなたはちゃんと――あなた自身の意思で、選んでいる。 だから、

染谷千冬 : 「――千秋!」

届いたその声を、あなたは選ぶことができる。

染谷千秋 : 「千冬!」抱きしめます 染谷千冬 : 「千秋……もう大丈夫だ」 染谷千冬 : 「……帰ろう、千秋」

強く、離さないように抱えて。――そうして千冬はあなたを、闇から連れ出した。 ・・・ ひかり。 まぶしいなにか、が。そそいでいる。 めをひらく。 ――あなたたちが氷柱を見るために訪れた、隣県のひっそりとした駅が目の前に佇んでいる。 あなたは肩に重みを感じる。そちらを見ると、千冬が肩に凭れかかっていた。 あなたが動いたからか、ぴくりと手を動かして、ゆっくりと体を起こす。

染谷千冬 : 「ん……おはよう」

千冬は、あなたを見て笑みを零した。

染谷千秋 : 「……はよ」微笑んだ千冬にキスをします。 「……また千冬に助けられた」 染谷千冬 : キスを目を閉じて受け入れた後、ふわりと微笑みます。 染谷千秋 : 「……ここは?」 染谷千冬 : あたりを見渡して答えます。 「……朝、俺たちが降りた駅みたいだな」 染谷千秋 : 「……もう俺に話せる?」 染谷千冬 : 「ああ。話せる」 染谷千秋 : 「じゃ、聞かせてくれよ。さっきの場所は何だったんだ?」 染谷千冬 : 「千秋の夢の中だ。千秋は悪いものに捕まって、夢を見させられていたらしい」 染谷千冬 : 「千秋が倒れた後に、男が現れてそう言った。その男は魔術師だと名乗って……千秋を助けるための協力を申し出た。その方法が、男の力を借りて、あの提灯を使って千秋の夢に入ることだった」 染谷千冬 : 「……悪い人間ではなさそうだった。安心してくれ。経験と、ただの勘だが」 染谷千冬 : 「ただ、悪いものに手の内を明かさないために、千秋には話せなかった。……ごめん」 染谷千秋 : 「そうだったのか。謝んなよ。俺のこと助けてくれたんだろ」 染谷千秋 : 「その男は今どこにいるんだ?」 染谷千冬 : 再びあたりを見回して、答えます。 「いない。……千秋が倒れた後、その男の魔術か何かで場所を移したんだ。なのに今ここにいるということは、帰されたのかもしれない」 染谷千秋 : 「……そっか。残念」 染谷千秋 : 「俺が取り込まれた原因についてはなんか言ってたか?そいつ」 染谷千冬 : 「残念? ……水たまりと言っていたが、詳しいことは聞いていない」 染谷千秋 : 「その男が近くにいたら色々聞けるかと思ってさ。……呪文とか?」 染谷千秋 : 「そういや倒れる前、黄い瞳が水たまりから覗いてたんだ。……それかもな」 染谷千秋 : 「千冬、疲れてないか?」 染谷千冬 : 「なるほど、確かにな……。少しだけ、でも全然大丈夫だ。千秋こそ大丈夫か?」 染谷千秋 : 「ああ、俺は全然へーき。なら抱えるよ」 染谷千冬 : 「そこまでじゃない。……例えるなら、ランニング30分した程度だ。全然動ける」 染谷千秋 : 「ちぇ」残念そうに言います。 染谷千冬 : 時間見て、昼過ぎであることを確認します。 「……今から向かうか?」 染谷千秋 : 「そうだな。行こうぜ」千冬の分もあわせて荷物を持ち、立ち上がってから千冬に手を差し出します。 染谷千冬 : 「……俺の荷物」 染谷千秋 : 「ん?」 染谷千冬 : 「……本当に大丈夫だ。千秋のほうが倒れたんだぞ。返せ」 染谷千秋 : 「いやだ。あれが俺の夢なら、寝てたのと変わんねーよ。身体は回復してる。……千冬」 染谷千冬 : 「……」 染谷千冬 : 「……わかった」差し出された手に自らの手を重ねます。 染谷千秋 : 「つらら、楽しみだな」笑って歩きだします。 染谷千冬 : 「ああ」

世界は声で溢れている。隣に立つあなたの声すらかき消す程に。 世界は混沌に塗れている。すぐ傍にある大切な物事すら、見失ってしまうほどに。 だからこそ、ふたり帰る路で話したこと。 あなたを見て、あなただけを聞いた。 千冬を見て、千冬だけを聞いた。 そんな一瞬を記憶に刻んで。 ――これからも、そうやってふたりで話し合いながら。 あなたたちの路を、歩んで。

* * *

END-A ☆クリア報酬 生還:5+1d8 最後に振り向かなかった:1d6

染谷千秋 : 5+1d8+1d6 (5+1D8+1D6) > 5+6[6]+2[2] > 13 染谷千秋 : CCB<=75 【聞き耳】 (1D100<=75) > 38 > 成功

背景

グラーキが水たまりを使って夢引きを試み、悪夢を見せている。

(シナリオに一部改変有)